新年のご挨拶
一般社団法人日本空調衛生工事業協会
会長 藤澤 一郎
新年明けましておめでとうございます。
令和7年の年頭に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
昨年は能登半島では元日早々の地震に加え、9月には豪雨により震災被害に追い打ちをかけるような被害も発生しています。これらの災害により被災された方々に対しまして、心よりのお見舞いとともに一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
さて、我が国の経済は、3月に日銀が17年振りにマイナス金利を解除し、賃上げに向けた政府・産業界の取り組みと相まって、物価上昇と金利のある普通の経済に戻ることが期待されましたが、賃金は上がったものの、それを上回る物価上昇により実質賃金のマイナスが継続し、残念ながらデフレからの完全脱却は未だ道半ばという結果でした。経済以外では、7月から9月にパリでオリンピック・パラリンピックが開催され、日本人選手が大活躍しましたが、会員企業の三建設備工業の草場選手が車いすラグビーに出場し、金メダルを獲得するという大変嬉しいニュースもありました。その他、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞、MLBの大谷選手が史上初の50-50の達成により3度目のMVP受賞等々記憶に残る出来事もあった一方、昨年の夏も災害級の猛暑が連日続き、記録的な豪雨が各地を襲いました。政治面では、10月に岸田内閣に代わり石破内閣が発足しましたが、月末の総選挙の結果、少数与党となったほか、アメリカではトランプ氏が大統領に返り咲くことになりました。
空衛工事業界についてみると、4月からは時間外労働の上限規制が適用となり、これまで様々な準備をしてきたものの、好調な受注が続いているだけに、構造的な人手不足も重なって、この一年会員企業の皆様は難しい舵取りを強いられたことと思います。最近、資材価格の高騰や労務費の上昇により、民間の設備投資で一部先送りや中止がみられますが、全体としてはタイトな需給環境が継続しています。加えて、今年度から防衛省の自衛隊施設の強靭化に向けた工事発注が本格化するとともに、年末には、石破総理が防災対策として、避難所となる学校体育館の空調整備のペースを2倍に加速するという方針を示しています。我々業界としては、我が国の産業基盤を支え、国民の安心・安全を守るためにも、これらの期待に応えていく必要があります。そのためにも、働き方改革を更に推進し、将来の担い手の確保に努めていくことが求められています。今年度末には、「働き方改革の推進に関する行動計画」を改定し、業界を挙げて長時間労働を前提とした労働慣行からの脱却を図り、実労働時間の短縮とともに、施工現場の土日閉所の実現に努めることとしています。また、国においても、6月に建設業法等が改正され、昨年末には価格転嫁協議の円滑化ルール、現場技術者専任義務の合理化関連の規定が施行されるとともに、今年末までに中建審による「労務費の基準」の作成・勧告に基づく労働者の処遇改善関連の規定の施行が予定されています。
空調衛生工事業は、設備の設計、施工、運転管理から廃棄に至る活動を通じて、省エネ、省CO₂を推進し、脱炭素社会づくりを目に見える形で先導し、地球環境の保全に貢献することが求められています。日空衛では、我が国の2050年のカーボンニュートラルの実現に貢献できるよう5月に「空調衛生工事業のカーボンニュートラル行動計画」を策定し、現在、2030年に向けたロードマップを作成中です。会員企業の皆様のCO₂排出量の算定、削減目標の設定等の取り組みに期待するものであります。
また、10月の全国会議では、空調衛生工事業のあるべき姿として「日空衛2025」を策定・公表しました。今後、持続可能な社会への貢献、魅力ある空調衛生工事業への挑戦を目指し、新4Kの達成、BIMの普及、CCUSの活用など中期ビジョンに盛り込まれた様々な取り組みを推進することとしています。
最後に、昨年中は協会運営に当たりまして、役員、諮問委員をはじめ会員の皆様のご協力を賜り心から感謝申し上げます。本年は、第42期を迎えることとなります。日空衛としては、新たな中期ビジョンに基づき業界の将来を見据えた活動を推進してまいりたいと考えております。
本年も業界発展のため、会員の皆様と一丸となって取り組んでまいります。会員各位の協会活動への積極的なご参加、ご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
会員の皆様のご健勝とご多幸を祈念申し上げ、年頭の挨拶といたします。
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